このページの目次
家族信託をお考えの方へ
- 家族信託とは
- なぜ家族信託をするのか?
- 家族信託の活用事例
家族信託のご希望や疑問がおありの場合、お気軽にご相談下さい。
1.家族信託とは
家族信託とは、認知症などにより自分の財産を管理できなくなったときのために、自分の財産を管理する権限を信頼できる家族に与えておくことをいいます。民事信託ともいいますが、家族間で利用されることが多いため家族信託ということが多いのです。
たとえば、自宅や賃貸マンション・預金の管理を子供に任せることができます。子供が親に代わって、自宅の売却や賃貸マンションのリフォームをしたり、預金を引き出し親の介護のために使ったりすることができます。
家族信託は、遺言書や後見制度の代わりとして利用したり、その2つを併用して利用し、より自由度の高い財産管理を期待することができます。
また、資産管理を家族に託すことにより、高額な報酬が発生することもなく、どなたでも気軽に利用することができる制度といえます。
近年テレビでも特集されたり、制限の多い後見制度に代わる方法として注目を集めています。
2.なぜ家族信託をするのか?
家族信託を理解するには、なぜ家族信託をするのかを知った方がスムーズに理解できるとおもいます。そこで「なぜ家族信託をするのか?」をみていきましょう。
通常、自分の財産は自分で管理するものです。当たり前といえば当り前です。ただ、財産を管理するには判断能力が必要です。判断能力とは、契約などの法律行為の結果について利益・不利益を判断する能力のことです。認知症となり判断能力がなくなると自分の財産管理をできなくなってしまいます。すると、銀行口座は凍結され引き出せなくなります。自宅を売却したくてもできなくなってしまいます。賃貸マンションをリフォームしたくてもリフォーム業者と契約できませんし、銀行の融資も受けられません。自宅を売却しなければ施設に入るお金を用意できない場合や、銀行口座が凍結され生活費を引き出せなくなってしまえば生死にかかわる一大事です。
これら大変な事態をあらかじめ防ぐため、自分が元気なうちに子供などに財産の管理を託しておくのです。これが家族信託です。これであれば、自分が認知症となり判断能力がなくなったとしても子供が代わりに管理・処分することができるのです。
もちろん家族信託の目的はこれだけではありません。もっとたくさんの活用方法がありますが、現在実際に活用されている事例の多くはこの生前の認知症対策です。
3.家族信託の活用事例
(1)認知症による資産凍結の防止
上述のように家族信託を利用する理由として一番多いものです。親が認知症などにより判断能力がなくなる前に家族信託の契約をしておけば、後に認知症などにより判断能力がなくなったとしても管理・処分を任された子供が単独で預金の引き出し、不動産の売却などをすることが可能となります。
(2)振り込め詐欺などの被害の防止
家族信託は管理を任せる財産をあらかじめ決めておきます。全ての財産の管理を任せなければならないわけではありません。管理を任せる財産を信託財産といいます。信託財産は管理を任された者つまり子供が管理します。もし親が振込め詐欺にあったとしても、信託財産を振り込むことはできず被害を最小限に食い止めることができます。
(3)積極的な資産運用をおこなう
認知症などにより判断能力がなくなると資産運用はできなくなります。例えば、相続税対策のためにマンションを建設したり購入したりすることはできなくなります。そこで、家族信託を使用すれば資産運用を子供に任せ、自身はゆとりある生活を送ることが可能となります。
(4)遺言書の代用
管理を任せた財産(信託財産)は、家族信託が終了したとき(多くは財産管理を任せた親が亡くなったとき)に誰が受取るかを決めておくことができます。つまり、財産を誰に相続させるか決めておくという遺言書と同じような効力を持たせておくことが可能です。
(5)先祖代々の土地を守る
遺言では資産の承継先として次の者しか決めておくことができません。例えば「家は長男に相続させる。長男が亡くなったら孫に相続させる」という遺言を作成したとしても後半の「長男が亡くなったら孫に相続させる」という部分は無効で効力が生じません。そのため、もし長男が遺言により孫以外の者に家を相続・遺贈してしまった場合、希望がかなわなくなってしまいます。
そこで、家族信託を使用すれば、順次相続が発生した場合の承継先を決めておくことができるので、希望通りに財産を承継させることができます。
(6)障害者を持つ子の親なき後の支援
家族の中に障害などにより介護・支援を必要としている方がいて、自分が高齢になったり、亡くなった後のことを心配されている方がおられます。このような場合も家族信託は有効です。財産管理を兄弟や甥姪に任せ、自身が亡くなっても障害者を支援することを契約しておくのです。財産管理を任せる兄弟や甥姪に報酬を与えることも可能です。障害者が亡くなった後に家族信託を終了させ、信託財産を誰に承継させるかも決めておくことが可能です。
当事務所では家族信託に積極的に取り組んでいます。家族信託に関連してご希望やお悩みがありましたら、お気軽にご相談下さい。