信託の疑問-信託っていったいいくらかかるの?

家族信託の費用、相場だけ見ていませんか?後悔しないための基礎知識

「親が元気なうちに、認知症による資産凍結のリスクに備えたい」
「家族信託という制度が良いらしいけど、費用が高そう…」

そんな思いで、インターネットで情報を集めている方も多いのではないでしょうか。検索すると「専門家報酬〇〇万円~」といった費用相場の情報が見つかりますが、その金額だけを見て「高い」と判断したり、「安い」という理由だけで依頼先を決めてしまうのは、実はとても危険なことなのです。

なぜなら、家族信託の費用は、単なる手続きの対価ではないからです。家族信託の費用は、ご家族の財産管理や将来の生活に備えるための費用と考えることができます。

この記事では、名古屋高畑駅前司法書士事務所の司法書士が、単なる費用の相場だけでなく、「何に」「なぜ」費用がかかるのか、その内訳と本質的な価値を、できるだけ分かりやすく解説します。最後までお読みいただければ、費用に対する漠然とした不安が解消され、ご自身の家族にとって価値のある選択を検討するための、基本的な知識を整理できます。

司法書士に依頼するとどれくらい費用がかかるのか、料金が心配な方もご安心ください。まずはこの記事で、費用の全体像を一緒に見ていきましょう。

【全体像】家族信託にかかる費用のすべて|内訳を徹底解説

家族信託にかかる費用は、大きく分けて「実費」「専門家への報酬」の2種類で構成されています。自分で手続きを進めようとしても、専門家に依頼しても、必ずかかってくるのが「実費」です。まずは、この全体像をしっかりと把握することが大切です。

家族信託にかかる費用の内訳を図解したインフォグラフィック。「自分で手続きする場合」は実費のみ、「専門家に依頼する場合」は実費と専門家報酬がかかることを示している。

必ずかかる「実費」とは?

実費とは、手続きを進める上で法務局や公証役場といった公的機関に支払う費用のことです。主なものに「公正証書作成手数料」と「登録免許税」があります。

公正証書作成手数料

家族信託の契約書は、後々のトラブルを防ぐため、公証役場で「公正証書」として作成するのが一般的です。その際に公証人に支払う手数料で、信託する財産の価額によって金額が変わります。

目的の価額手数料
50万円以下 3,000円
50万円を超え100万円以下 5,000円
100万円を超え200万円以下 7,000円
200万円を超え500万円以下13,000円
500万円を超え1,000万円以下20,000円
1,000万円を超え3,000万円以下26,000円
3,000万円を超え5,000万円以下33,000円
5,000万円を超え1億円以下49,000円
公正証書作成手数料の目安

※上記に加え、証書の枚数に応じた費用や正謄本代などが別途かかります。

登録免許税(不動産を信託する場合)

不動産(土地や建物)を信託財産に含める場合、法務局で所有権移転及び信託の登記をする必要があり、その際に納める税金が登録免許税です。税額は、不動産の固定資産税評価額に一定の税率をかけて計算します。

  • 土地:固定資産税評価額 × 0.3% (※令和11年3月31日までの軽減税率)
  • 建物:固定資産税評価額 × 0.4%

例えば、評価額2,000万円の土地と1,000万円の建物を信託する場合、登録免許税は「2,000万円×0.3% + 1,000万円×0.4% = 10万円」となります。

専門家(司法書士)に依頼する場合の「報酬」

司法書士などの専門家に依頼した場合、実費とは別に報酬が発生します。これは、ご家族一人ひとりの状況に合わせた最適な信託を設計し、法的に有効で、かつ将来にわたって機能する仕組みを構築するための専門的なサービスへの対価です。

  • コンサルティング(設計)費用:ご家族の希望、財産状況、将来の不安などを丁寧にお伺いし、オーダーメイドの信託プランを設計するための費用です。家族信託の成否を左右する最も重要な部分といえるでしょう。
  • 信託契約書作成費用:設計した内容を、法的に不備のない「信託契約書」という形にするための費用です。公正証書の文案作成もここに含まれます。
  • 信託登記の代行費用(不動産がある場合):不動産を信託する際の、法務局への登記申請を代行する費用です。

報酬には、信託設計や契約書作成、登記手続きに関する専門的な対応の費用が含まれます。当事務所の詳細な料金については、こちらのページをご覧いただください。

なぜ?司法書士によって費用が違う3つの理由

「事務所によって料金が全然違うのはなぜ?」これは、多くの方が抱く当然の疑問だと思います。費用の違いには、主に3つの理由があります。この違いを理解することが、ご自身に合った専門家を選ぶ上で非常に重要になります。

理由1:料金体系の違い
料金体系には、信託する財産の価額に応じて報酬が決まる「財産額連動型」と、財産額にかかわらず一定の料金が設定されている「定額制」があります。前者は財産が多いほど高額になり、後者は費用が分かりやすいという特徴があります。

理由2:サポート範囲の違い
信託契約書の作成だけで終わる事務所もあれば、信託口口座の開設サポートや、信託開始後の税務申告に関する税理士の紹介など、アフターフォローまで手厚くサポートする事務所もあります。どこまでのサービスが含まれているのかを事前に確認することが大切です。

理由3:専門性と経験値の違い
家族信託は、まだ新しい制度であり、非常に高度な専門知識と経験が求められます。特に、将来起こりうる様々なリスクを想定し、それを回避できるような契約書を設計する能力は、経験豊富な専門家ならではの価値です。この専門性の高さが、報酬に反映されることがあります。

当事務所では、お客様に安心してご依頼いただけるよう、分かりやすい料金体系と手厚いサポートを心がけております。ご不明な点は、納得がいくまで何度でもご質問ください。

【財産別】家族信託の費用シミュレーション

ここでは、具体的なモデルケースを基に、どれくらいの費用がかかるのかシミュレーションしてみましょう。ご自身の状況と照らし合わせながら、費用のイメージを掴んでみてください。
※以下のシミュレーションはあくまで一般的な目安であり、実際の費用は個別の事案によって異なります。

家族信託の費用シミュレーションを3つのケースで比較した図解。「預貯金のみ」「自宅+預貯金」「賃貸アパート+預貯金」の順に費用が高くなることを示している。

ケース1:預貯金3,000万円を信託する場合

不動産を含まず、預貯金のみを信託する最もシンプルなケースです。この場合、高額になりがちな登録免許税がかからないため、費用を比較的抑えることができます。

  • 実費:公正証書作成手数料(約3万円~)+その他(戸籍謄本取得など数千円)
  • 司法書士報酬:コンサルティング・契約書作成報酬(30万円~50万円程度)
  • 合計費用の目安:約37万円~60万円

ケース2:自宅(評価額2,000万円)と預貯金1,000万円を信託する場合

多くの方が当てはまる、ご自宅と預貯金を信託するケースです。信託財産の合計は3,000万円です。この場合、不動産の信託登記が必要になるため、登録免許税と登記代行報酬が追加でかかります。

  • 実費:
    • 公正証書作成手数料(約3万円~)
    • 登録免許税(土地評価額1,000万円、建物評価額1,000万円と仮定)
      土地:1,000万円 × 0.3% = 3万円
      建物:1,000万円 × 0.4% = 4万円
      合計:7万円
    • その他(固定資産評価証明書取得など数千円)
  • 司法書士報酬:コンサルティング・契約書作成・登記代行報酬(40万円~70万円程度)
  • 合計費用の目安:約55万円~90万円

不動産が含まれると、相続登記と同様に権利関係の調査など専門的な手続きが必要となり、専門家のサポートの重要性が増します。

ケース3:賃貸アパートと預貯金を信託する場合

賃貸アパートなどの収益物件を信託する、より複雑なケースです。この場合、単に財産を管理するだけでなく、賃料収入の管理や経費の支払い、確定申告といった運用面まで考慮した、高度な信託設計が必要になります。

  • 実費:登録免許税、公正証書作成手数料など(物件の評価額による)
  • 司法書士報酬:コンサルティング・契約書作成・登記代行報酬(60万円~)
  • その他:信託開始後、税理士への確定申告報酬(年数万円~)が別途かかる可能性があります。
  • 合計費用の目安:初期費用70万円~ + ランニングコスト

このようなケースでは、信託設計が複雑になるため、コンサルティング費用が他のケースより高くなる傾向があります。また、税理士など他の専門家との連携も不可欠となり、総合的なサポート体制が重要になります。

費用で後悔しないために。知っておくべき3つの注意点

ここまで費用の内訳や相場を見てきましたが、最後に、費用で後悔しないために絶対に知っておいていただきたい3つの注意点をお伝えします。これは、専門家として多くの方のご相談に乗ってきたからこそ、強くお伝えしたいことです。

注意点1:「自分でやる」は本当に安い?見えないコストとリスク

専門家報酬を節約するために、ご自身で手続きをしようと考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、その選択には大きなリスクが伴います。

  • 契約書が無効になるリスク:インターネットの雛形を真似て作った契約書では、法的な要件を満たさず、いざという時に信託が無効になってしまう危険性があります。
  • 意図しない税金がかかるリスク:信託の設計を間違えると、高額な贈与税が課せられてしまうことがあります。不動産の生前贈与と同じく、税務の知識は不可欠です。
  • 信託口口座が開設できないリスク:信託した財産を管理するための専用口座「信託口口座」は、専門家が作成した適切な契約書がなければ、多くの金融機関で開設を断られてしまいます。

専門家への報酬は、これらの深刻なリスクを回避し、ご家族の財産管理に関するリスクを抑えるための費用としての価値があります。費用の安さだけで判断せず、契約内容や税務上の影響、金融機関での運用可能性も含めて慎重に検討することが大切です。

司法書士に相談し、安心した表情を浮かべる老夫婦。家族信託の費用に関する不安が解消された様子。

注意点2:成年後見制度との「総費用」で比較する視点

認知症対策として家族信託と比較されるのが「成年後見制度」です。家庭裁判所への申立て費用は数万円程度(専門家に依頼すると別途報酬10万円~)と安価ですが、注意すべきはランニングコストです。

専門家(司法書士や弁護士)が後見人に選任された場合、ご本人が亡くなるまで、毎月2万円~6万円程度の報酬が発生し続けます。仮に月3万円の報酬が10年間続けば、総額は360万円にもなります。

一方、家族信託は初期費用こそかかりますが、ご家族が受託者となる場合、基本的にランニングコストはかかりません。10年、20年という長期的な視点で見ると、家族信託の方が「総費用」でははるかに安くなるケースが多いのです。目先の安さだけでなく、長期的なコストパフォーマンスで比較することが重要です。

注意点3:信託開始後にかかる費用(ランニングコスト)も忘れずに

ほとんどのケースではランニングコストはかかりませんが、信託の設計によっては、初期費用以外にも費用が発生する場合があります。

  • 信託監督人などの報酬:受託者(財産を託される人)の監督役として、専門家を「信託監督人」などに置いた場合、継続的な報酬が発生します。
  • 税理士報酬:賃貸アパートなど、収益を生む財産を信託した場合、毎年の確定申告を税理士に依頼する費用がかかることがあります。
  • 信託内容の変更費用:将来、家族の状況変化に合わせて信託内容を見直す場合、別途費用がかかる可能性があります。

契約を結ぶ前に、信託を開始した後に発生する可能性のある費用についても、専門家にしっかりと確認しておくことが、将来の「こんなはずじゃなかった」を防ぐポイントです。家族信託は、遺言書のように一度作って終わりではなく、長期にわたる家族の暮らしを支える仕組みなのです。

まとめ|家族信託の費用は「未来への投資」です

ここまで、家族信託にかかる費用の内訳、相場、そして注意点について詳しく解説してきました。様々な数字が出てきましたが、最も大切なことをお伝えします。

家族信託の費用は、単なる「出費」ではありません。家族信託は、認知症による資産管理の停滞に備え、将来の財産管理の方法をあらかじめ定めておくための選択肢です。

費用が高いか安いか、その判断基準は、金額の大小だけではありません。その費用によって、どれだけの安心が得られるのか。ご家族の笑顔を、どれだけ長く守ることができるのか。そうした価値に目を向けることが、後悔しない選択につながるはずです。

私たち名古屋高畑駅前司法書士事務所は、司法書士を「先生業」ではなく「サービス業」と考えています。だからこそ、お客様の不安にどこまでも寄り添い、納得できるまで何度でも無料でご相談に応じています。まずは、あなたの家族への想い、そして将来への不安を、私たちに聞かせていただけませんか。無料相談でお会いできることを心よりお待ちしております。

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