信託の疑問-家族信託は誰に依頼すればいいの?

家族信託は誰に依頼するべき?

おすすめの専門家についてご紹介

「家族信託に興味があるけど、家族信託をどの専門家に依頼しようかな」

「そもそも家族信託って誰にでも依頼できるものなんだろうか」

家族信託について考えていると、誰に依頼したらいいか悩みますよね。

そこで、このページでは、家族信託を誰に依頼するべきかについて、おすすめの専門家を一緒に見ていきたいと思います。

1.誰に家族信託を依頼できるのか

家族信託の設計を取り扱う専門家は主に以下の5つです。

⑴ 司法書士

専門家で家族信託を一番多く取り扱っているのが司法書士です。ある大手金融機関の家族信託の士業別案件割合統計では、72%が司法書士と圧倒的です。

司法書士は民法・後見・相続に精通しているので、家族信託に一番近い専門家であることが理由です。

かつ司法書士は登記の専門家です。家族信託ではほぼ不動産を信託財産としますので、信託登記も外注せずそのまま手続きしてもらえます。

なお、相続税や贈与税など税金が複雑に絡む場合、税理士にも相談しながら進めることになります。

⑵ 弁護士

全ての分野の法律業務をおこなうことが可能な高度な専門職です。訴訟など紛争の解決がメインの業務ですが、最近は予防法務にも力をいれており、家族信託を取り扱う弁護士も増えてきました。

ただし、信託財産に不動産がある場合、信託登記は弁護士が提携している司法書士に依頼することになります。また、相続税や贈与税など税金が複雑に絡む場合、税理士にも相談しながら進めることになります。

ちなみに費用は他士業より高額となるでしょう。

⑶ 行政書士

行政書士は、官公署に提出する許認可などの書類を作成・手続きの代行をするのが主な業務です。契約書の作成もおこなっていることから、家族信託を取り扱っている行政書士もいます。

こちらも、信託財産に不動産がある場合、信託登記は行政書士が提携している司法書士に依頼することになります。また、相続税や贈与税など税金が複雑に絡む場合、税理士にも相談しながら進めることになります。

⑷ 税理士

税理士は税の専門家です。近年、相続税を専門にする若い税理士が増えてきたため、多くありませんが、家族信託を取り扱う税理士もいます。

弁護士や司法書士と違い法律の専門家ではないので家族信託の設計・契約書の作成までは応じてくれないことが多いです。

税理士以外の専門家に依頼する場合も、家族信託は贈与税や将来の相続税を気にしながら進めることも多いので、必要な場合は税理士に税金のシミュレーションをしてもらいます。

相続税対策や事業承継の場合は、必ず税理士にも相談しましょう。

⑸ 民間資格者・民間会社

最近は、国家資格者ではなく民間資格を持った者が会社を設立し対応しているところがあります。また、士業以外の民間会社が家族信託の相談窓口を設けていたりします。例えば、金融機関や不動産会社です。

あくまで相談窓口であり、自身で直接家族信託の手続きをおこなうわけではなく他士業を紹介(外注)して対応しています。

金融機関や不動産会社の紹介であるため、手続をおこなう士業も紹介会社に利益をもたらす提案をする可能性があります。また、士業の費用だけでなく紹介元の費用も発生し高額になってしまう可能性があります。

ちなみに銀行で家族信託をすることはできません。銀行も信託をおこなうところがありますが、これは商事信託で家族信託ではありません。一部の銀行で「家族信託」という名の商品がありますが、これも家族信託ではありません。これは銀行にお金を預けて預金者が死亡したら家族に定期的にお金を送金するサービスです。

「遺言信託」なる商品もありますが、これも単に銀行が遺言書を作成して預かってくれるというサービスであり家族信託ではありません。

それでは、具体的にどの専門家に家族信託を依頼するべきなのでしょうか。おすすめの専門家について次で見ていきましょう。

2.依頼をおすすめする専門家

結論から言うと、家族信託を依頼するなら司法書士がいいと思います。家族信託は、成年後見や遺言など他の制度と比較して決定し、相続のことも考えながら設計します。

司法書士は、成年後見・遺言・相続の全ての分野に精通しています。士業のなかで業務上一番これらに携わっているからです。したがって、優良な信託設計をしてもらえる可能性は司法書士が一番高いといえます。

また、家族信託ではほぼ不動産を信託財産とするはずです。その場合、信託登記が必要ですが、登記は司法書士の分野です。司法書士以外の専門家に家族信託を依頼すると信託登記だけは提携の司法書士を紹介されます。初めから司法書士に依頼すればワンストップでスムーズにおこなえます。

そして信託登記だけを司法書士に依頼するとまとめて依頼するよりも費用が高額になってしまいます。

ある大手金融機関の家族信託の士業別案件割合統計では、72%が司法書士で圧倒的1位です。2位は弁護士の11%、3位行政書士の8%、4位税理士の7%です。

このことからも家族信託は司法書士に依頼すべきといえるでしょう。

3.注意点

上述のように士業の中で司法書士が1番多く家族信託を取り扱っています。ただ、司法書士全体からみると家族信託を取り扱っていない司法書士の方が多いのが現状です。

家族信託は新しい制度であり、近年増えてきたとはいえまだまだ浸透しているとはいえないからです。専門家でもまだまだ手探り状態といったところです。

4.まとめ

  • 家族信託を取り扱っている専門家は、司法書士・弁護士・行政書士・税理士。
  • 実際に家族信託を一番多く取り扱っているのは司法書士で、シェア率は70%を超えている。
  • したがって、家族信託を依頼するなら司法書士がおすすめ。

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